大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(ラ)350号 決定

本件記録に徴するに、相手方は抗告人を相手方として、昭和二十三年八月十四日武蔵野簡易裁判所に土地の賃貸借契約締結の調停申立をなし(同庁昭和二十三年(ユ)第八一号事件)、同年十一月二十九日右当事者間に、申立にかかる土地について、従来この土地について右当事者間に存在した賃貸借契約を合意解除し、抗告人は改めてこれを相手方に売り渡す旨の調停が成立したものであるが、右調停申立書及び調停調書にはすべてその目的たる土地の表示として、抗告人主張の(一)、(二)、(三)の土地が記載され、調停手続の始終を通じて、抗告人主張の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)(ヘ)の土地に言及されたことは一度もない。しかのみならず右(一)、(二)、(三)の土地の坪数合計は五百三十四坪八合九勺四才であるのに、相手方が更正を申し立てた(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)の畑の面積は、坪数に換算して合計六百一坪となり、その面積において一割を超える六十六坪余の増加があるばかりでなく、相手方が武蔵野簡易裁判所に提出した念書には「登記簿上の坪数と調停調書の坪数との間に差があるが、申立人としては登記簿上の坪数が実面積より多いことを理由として、調停現況土地目録記載以上の権利を主張するようなことは致しません。右念書を以て誓約する。」旨が記載されている。

判決、決定、調停調書等に明白な誤謬があるときは、裁判所は申立又は職権によりこれを更正する旨の決定をすることができるが、右の誤謬は、違算、書損その他判決等の全趣旨から、客観的にいかなる事項を表示する積りで果さなかつたかが、明確に看取することができる、明白なものでなければならない。してみれば前述の調停調書に表示された(一)、(二)、(三)の土地の記載が、調書自体からは勿論、調停手続中全然言及されず、更に更正前の面積より一割以上も超過する(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)の土地の表示を、誤つて記載したことが明白であるとは到底解されないから、相手方のなした更正決定の申立は、爾余の論点をまつまでもなくこれを許容するに由ないものといわなければならない。然るに原決定が、本件更正決定には何等違法の点がないとしたのは失当であつて取消を免れない。

(内田 原増 高井)

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